聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜





「ファリエルタ様はロレッティア様と同じ一級貴族です。一時はアルウィード様とのご結婚の噂もありました。お美しい方で、お上品で、素晴らしいご令嬢でいらっしゃいます」

 アルウィードが去ったあと、エミュリーはそう説明した。
「へえ、そうなんだ」
 興味なさげに答えると、エミュリーは少し怒った。

「ライバルですよ、もう少しビシッとなさってください」
「……ライバルじゃないし」

「あちらはまだ一七歳の乙女、聖母様よりかなり年下、年齢的にはあちらが有利です」
「その人と結婚でいいんじゃないのかな」
 そういえばアルウィードは何歳なんだろう、と三千花は思う。

「弱気になってはいけません。さあ、まずは背筋を伸ばして!」
 ソファにぐったりと座っていた三千花の肩を片手で持ち、もう片手で背中をぐっと押す。

「先生がいらっしゃらない時間は私が指導いたしますからね!」
 変なスイッチ入っちゃったなあ、と三千花はため息をついた。







 先生は(から)のお茶セットとともに現れた。
 セッティングはこう、食べる順番はこう、お茶は招いた側が注ぐ、などと言われた。
 さらに優雅な動きを指導され、三千花はダメ出しの嵐に見舞われた。

 最初、アルウィードとのお茶会でエミュリーが物言いたげだったのはこれだったのか、と理解した。
 もうやだ。なんとかマナーなしでお茶会できないかな。

 ダメ出しされすぎて、三千花は抜け殻になった。

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