聖母召喚 〜王子に俺と結婚して聖母になれと烈愛されてますが、隙を見て逃げます〜
「私は帰りたいの。婚約なんて嫌なの」
 直球ストレートで本音を言ってしまった。

 三千花の言葉に、ファリエルタの表情が変わる。
「……本当に?」
「本当に」

 ファリエルタは少し考えるようなそぶりを見せた。
「あの方のおっしゃった通りだわ」
 小さなつぶやきは、はっきりとは聞こえなかった。

「何?」
「お耳を拝借できるかしら」
「はい」
 三千花は耳を近づける。わっ! とやられないか、ドキドキしながら。

 ファリエルタはそんなイタズラはしなかった。
「帰りたいなら協力するわ」
 三千花は愕然と彼女を見た。ここに来て初めて聞いた。

「本当に?」
「そのかわり」
 とまたファリエルタはまた三千花の耳に口を寄せる。

「ほかの候補者も連れて帰って」
「もちろん」
 彼女たちも帰りたいに違いない。いきなり連れて来られて困っているだろう。

「このことは内密にね。もしバレたら反逆罪で処刑されるわ」
 マジか。
 三千花は震えた。

 同時に、リグロットの視線が気になって仕方なかった。

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