内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「まぁいい。今夜は一緒に帰れるか?」
「一緒に? はい、大丈夫です」
いつも龍一さんは遅くまで会社に残っているが、今夜は早く帰れるらしい。しかし、会社から連れ立って帰るというのは初めてなので少し驚いた。
「それじゃ、エントランスで待っていろ。社員に俺たちの関係をもっと周知させたい。さっきの彼のような、きみの優しさに付け入る者が現れないように」
「わ、わかりました……」
「話はそれだけだ」
淡々と告げた龍一さんは、くるりと踵を返して社員食堂を出て行く。
食事をしに来たわけではなかったらしい。……だとしたら、なんのためにここに?
首を傾げながら見送った広い背中は、まだ少し不機嫌そうだった。
「そんなに急いで、降矢とデートか?」
定時の午後六時を迎え、龍一さんを待たせてはいけないと急いで帰り支度をしていたら、ちょうど会議から帰ってきた石狩課長に声をかけられた。
「い、いえ。ただ今日は一緒に帰る約束を……」
「いいねぇ若いもんは。どれ、俺も途中まで一緒に行って、降矢を冷やかそうかね」
自席に戻った課長は面白がるようにそう言って、ビジネスバッグを机の上に出す。