内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 私としても早く待ち合わせ場所のエントランスに向かいたいところだけれど、〝嫉妬深い〟のひと言が妙に引っかかる。

 偽装の関係を悟られないためにもあえて言い返す必要はないのに、気が付いたら口を開いていた。

「いえ、嫉妬ではなく、降矢家に嫁ぐ者としての自覚が足りないと怒られただけかと……」
「馬鹿だな、違うだろ。降矢家に嫁ぐなら、年齢や性別の違う相手ともうまくやる社交スキルはむしろ必須だ。結婚したら夫人として面倒な付き合いがいろいろあるだろうしな」
「社交スキル……それは、確かに」
「つまり、アイツの不機嫌はくだらん嫉妬だ。羽澄が甘やかしてやりゃ、機嫌直すだろ」

 本当に嫉妬なの……?

 いや、課長は私たちの本当の関係を知らないから、単にからかいたいだけだろう。というか、龍一さんを甘やかす方法なんて知らないし。

「さ、参考になります。それではお先に失礼します」
「おお、降矢によろしく」

 呑気な返事をする課長にぺこりと頭を下げ、ステーショナリー開発部のオフィスを後にする。

 出るのが少し遅くなったけれど、龍一さんの方が忙しいだろうしエントランスに着くのは私が先のはず。
 
 あまり待たせたくはないので、急ぎめにエレベーターで階下に降り、エントランスを目指す。

 龍一さんが来るまで、ベンチに座って待っていればいいかな……。

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