内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
広々としたエントランスに着き、壁沿いにいくつか置かれたベンチに視線を向ける。するとそのうちのひとつ、悠々と足を組んで座る龍一さんの姿が。
思わず腕時計を確認したものの、まだ六時十分にもなっていない。
は、早すぎません……? 一気に焦ってしまい、小走りになる。
その間、彼の前を通りすぎる何人もの女性社員たちが「専務、お疲れ様です」と甘ったるい声で挨拶している。龍一さんはそのすべてにクールな表情で「お疲れ様」と応えていた。
女性社員たちが遠ざかったタイミングを見計らい、彼のもとへ駆け寄る。
「お、お待たせしてすみません……!」
「なにも走らなくても。仕事だったんだろう、気にするな」
スッと立ち上がった龍一さんは、ぜいぜいと肩で息をする私を見て苦笑する。
よかった……。お昼休みの不機嫌は、どうやら治っているみたい。
この雰囲気だったら、石狩課長の言っていたことを、直接彼に尋ねてみても大丈夫だろうか。
「仕事というか、石狩課長とお話ししていたんです」
ゆっくり歩きだしながら、彼を見上げる。