内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「石狩さん?」
「はい、流れでお昼の食堂でのことを話したら、課長は龍一さんが嫉妬しているのだろうと言うんです。そんなことあり得ないのに」
苦笑してから、「課長はこちらの事情を知らないからしょうがないですけど」と付け足す。龍一さんは黙って前を見ていた。
「嫉妬している、ということにした方が怪しまれないかもと思い、そこまで激しく反論はしませんでしたが、龍一さんの名誉のことを考えたらちゃんと否定しておいた方がよかったでしょうか?」
彼の横顔にそう問いかけると、龍一さんはぴたりと足を止め、軽く眉根を寄せた。
「嫉妬……では、ない」
龍一さんが独り言のように呟き、考え込むように目を閉じる。
ほら、やっぱり違うじゃないですか、課長。龍一さんはただ、私の軽率な行動を咎めたかっただけなんですって。
胸の内で課長にそう語りかけていると、龍一さんがパッと瞼を開く。
それから周囲に人がいないことを確認し、小声で言った。
「しかし、きみの対応は正しい。周囲に嫉妬深い男と勘違いされているくらいの方が、偽りの愛情も信じ込ませやすいだろうからな」
「わかりました。では、今度から〝龍一さんは嫉妬深い婚約者〟ということで、私も話を合わせます」
「そうキャッチフレーズのように言われるのは複雑なものがあるが……仕方ない」