内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「私……これじゃ、いきなり減点ですね」
「減点?」
「本当は自分の力でお洒落をしなきゃいけなかったのに、龍一さんからアドバイスをもらってしまったんですもん」
彼に渡された二着の服を眺め、ため息をつく。デートが始まる前から幸先が悪い。
「そんなことを気にしていたのか。なら、安心していい。デートに着ていく服をそこまで悩んでくれただけで、むしろいくらか加点されている」
「悩んだ結果、パッとしない服装になってしまったのにですか?」
「仕事もそうだが、結果だけでなくプロセスも大事だろう。まだ婚約者になりたてのきみに、完璧は要求してない。これからセンスや感覚を磨けばいい」
「ありがとうございます……」
そっか。龍一さんも私の経験値の低さは重々承知しているから、いきなり百点を目指す必要はない。
今日は初めてのデートなんだし、失敗を恐れるよりも彼を知ることに重点を置く方がよさそうだ。
龍一さんはリビングで待つと言って一旦部屋を出て行き、着替えを済ませた私は再度鏡の中の自分と目を合わせる。
デコルテを出しただけで、ずいぶんと大人っぽい印象になった。ここにネックレスでも飾ったらもっとよかったのかもしれないけれど、ファッションに疎い私は、アクセサリーをひとつも持っていない。
今まで特に必要だと思わなかったのだ。
「ま、いいか……」
鎖骨の辺りを指先でなぞってみるも、ない物は仕方がない。服装が決まると、バッグを持って自室を出た。