内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 師走に入ってちょうど初日が、飲み会の当日だった。

 真智が飲み会に出かける件はずっと頭の片隅に引っかかっていたが、今さらどうしようもない。

 真智が家にいないのならたまには早く帰って寛ごうと、七時頃に退社した。

 エントランスの自動ドアを出てすぐ、冷たい冬の空気に頬を刺されて肩を竦める。

「おーい、待て待て、降矢」

 出入り口から外に出てすぐ、俺を呼び止める懐かしい声がした。立ち止まって振り向くと、真智の上司で俺にとっては大学の先輩でもある石狩さんが、片手を上げて歩み寄ってきた。

「お疲れさまです。俺になにか?」
「別に取り立てて用があるわけじゃねえけどさ。たまには一杯どうかと思っただけだ」

 石狩さんが気のいい笑顔を浮かべて俺を誘う。一見強面だが、中身は人好きで面倒のいい人なのだ。

 会社の後継者である俺に遠慮して距離を置く社員が多い中、お互いの立場など気にせず気楽に接してくれるのも有難い。

「いいですね。付き合いますよ」
「よし、決まりだ。ちなみに羽澄は?」
「同期の飲み会があるとかで」
「そうか。じゃ、たっぷりのろけ話でも聞かせてもらおうかね」

 冷やかすようにそう言った石狩さんが、俺の肩を掴んで揺らす。

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