内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
この人は、俺たちが偽装の関係であることを知らない。つまり、俺が現在の心境を包み隠さず告げたとしても、なんの問題もないわけだ。
後で真智本人の耳に伝わったとしても、彼女は俺が演技をしていただけだと思うだろう。
真智への膨張しきった想いを吐き出す相手として、これ以上の適任はいない。
「望むところですよ」
「お、乗り気。店は適当でいいよな?」
「お任せします」
さっそくスマホで店を検索し始める石狩さん。彼のスマホケースには、有名なバイクメーカーのロゴが存在を主張している。
休日はツーリングが趣味らしいが、後ろに乗せる彼女がいないと以前から嘆いている。こうして金曜の夜に俺を誘うところを見るに、今でもまだ決まった恋人はいないようだ。
徒歩で向かった先は、落ち着いた雰囲気のダイニングバーだった。
酒だけでなく料理も充実しているようで、レンガ風の壁に掛けられたブラックボードに、手書きでメニューが書かれている。
金曜の夜とあって、店内のテーブル席はほぼ満席。店の奥にはいくつか個室もあるらしいが、俺と石狩さんは、空いていたカウンター席に並んで腰を下ろした。