内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「こうして私に文句を言うのはいいけれど、嘘を言ったり他の人を巻き込むのは――」
遠慮がちに反論しかけたその時、小峰さんの表情がパッと明るくなる。
その目は私を飛び越えて、背後に注がれている。
「お疲れ様です、専務~!」
声を一オクターブ高音にした小峰さんが、私の背後へと移動する。振り向くと、私を迎えに来たのであろう龍一さんが近づいてきたところだった。
「真智、待たせたな。帰ろう」
「もう帰っちゃうんですか? せっかくですから、三人でお酒でもどうです?」
にっこり笑ってそんなことを言ってのける小峰さんに驚愕する。
さっき私を〝ゴキブリ〟と表現していたはずだが、ゴキブリと一緒にお酒が飲めると言うのだろうか。私ならごめんだ。
「いや、遠慮しておくよ。普段忙しくて、あまり彼女との時間が取れないんだ。たまには真智を甘やかしてやろうと思ってね」
肩に伸びてきた大きな手が、私の体をぐっと引き寄せた。小峰さんのことは龍一さんも警戒していたので、言葉や態度であえて過剰にアピールしているのだろう。
それがわかっていても、心臓は早鐘を打つ。小峰さんの頬がぴくっと引きつった。