内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「いや、まだまだだ」
「ま、まだまだ……?」
「ああ。真智の様子を見ながら、先へ進む。例えば――」
不意に伸ばされた彼の指先が、私の下唇をふにっと押す。
「出来心じゃない本気のキス、とか」
ゆっくりと滴る蜜のような、甘い声。
龍一さんが醸し出すあまりの色気に、心臓も呼吸も一瞬止まりかけた。
でも、出来心じゃないキスって、いったいどういう……?
「……試してみるか?」
唇を押していた指が、今度は左右に動く。彼の本気と私の本気はきっと違う。このまま流されたら、傷つくのは自分。
心の中でもうひとりの自分がそう言っているのに、私はまるで催眠術にかかったみたいに、こくんと頷いていた。
龍一さんが顔を傾け、長い睫毛を伏せる。
もともとわずかしかなかった私たちの距離が、一瞬でゼロになった。やわらかい唇の感触に、鼓動が速まる。
とても長くて……けれど、とても優しいキスだった。
龍一さんが好きだと、叫び出したいほどに思う。