内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
ため息交じりに苦言を呈した彼が、駆け寄った私を静かに抱きしめた。
時間が時間なのでエントランスに社員の姿はないが、離れた場所に警備員が立っている。どうか見ないでと思いつつも、龍一さんの腕の中で甘い気持ちになる。
本物の婚約者を目指すと言われてすぐの頃はスキンシップに動揺するばかりだったけれど、あれから添い寝が習慣になっているので、今では安心感すら覚える。ここが私の帰る場所なんだなって。
もちろん、彼の方がどう思っているのかはわからないけれど……今はこうして一緒にいられるだけで満足だ。
「きみのことだから、仕事に夢中で何も食べていないんだろう? 食べやすいおにぎりと、豚汁を作ってある。明日はフレンチだから和食がいいかと思って」
体を離した龍一さんが、私の手を握る。彼と手を繋ぐことにも、だいぶ抵抗がなくなった。
「ありがとうございます……! 実は、かなりお腹すいてたんです」
明日のイブは龍一さんが夕方からのデートを計画してくれている。
今日の土曜出勤は、そんなご褒美が待っているから頑張れたのかもしれない。
エントランスから外に出るとかなり寒かったけれど、龍一さんとたわいのない話をしながらマンションまでの道を歩いているだけで、心は温かかった。