内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 レストランのあるこの階は六十七階だが、ホテル全体は七十階建てのビル。ここより上階は専用のフロントが設けられたラグジュアリーフロアとなっており、一般客には縁のない豪華なスイートルームが数部屋あるだけだ。

「そのスイートルームに用がある」
「用って?」
「ここはホテルだぞ。泊まる以外になんの用がある?」

 えっ。泊まる……?

 ぽかんと瞬きをしている間に、エレベーターが到着する。彼に手を引かれるまま乗り込むと、グンと上昇する足元に合わせて心臓が浮きあがる感覚がした。

 いつの間に予約していたのだろう。

 当然のようにフロントでカードキーを受け取った彼は部屋のロックを解除して室内に私を促す。

 やわらかい絨毯の敷かれた床を歩いていると、雲の上にいるような感覚だ。

 広々としたリビングダイニングの向こうには、湾岸の夜景と、その光を反射してゆらゆらと揺れる東京湾が見えた。

 窓辺に佇んで夢のような景色にただ見とれていると、龍一さんが背後からふわりと私を抱きしめた。

 心臓が脈打ち、振り向きたいのに振り向けない。私、絶対に赤い顔をしているもの。

 そのまま夜景に集中しているフリをしていたら、耳たぶをそっと彼の唇がかすめた。ビクッと肩が跳ねる。

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