内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
龍一さんが直接否定したんだもの、それを信じたい。
もう、彼女のSNSを覗くのはやめようか……。
そこまで思ったところで、電話の向こうでなにかを叩くような物音がした。
『専務~、開けてくださいってば~』
続けて電話口から聞こえてきたのは、小峰さんと思しき女性の声。
ドクッと心臓が脈打ち、薄れていた不安の霧に胸の中が覆い尽くされる。
まさか、同じ部屋にいるの? 飲食店のようなにぎやかな雰囲気ではないし、まさかどちらかの住まいに?
思わず見上げた壁の時計は午後十時過ぎ。シンガポールは日本より一時間遅れの時差があるにしろ、仕事で一緒にいる時間ではない。
「龍一さん、今……女の人の声がしませんでした?」
『女? いや、知らない。盛りのついた猫の声とでも聞き間違えたんじゃないか?』
猫はあなたを専務とは呼ばないし、どこですかとも言えない。
龍一さんが嘘をついていると確信し、目頭が熱くなった。
「そう……だったかもしれませんね。それじゃ、私はそろそろ眠りますね。なんだか疲れちゃって……」
『そうか。無理をするなよ、おやすみ』
「おやすみなさい……」
電話を切るまで、声が震えるのはなんとか堪えた。
けれどスマホをソファに放り投げ、抱えた膝に顔を埋めると次々に涙があふれた。