内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「嘘、つき」

 そんな見え透いた嘘で、ごまかせると思ったのだろうか。それとも、ごまかせなくてもいいと開き直ってる?

 どうせ偽装結婚の相手だから、浮気を咎める権利もない。

 日本にいる私にはどうせなにもできないと、タカをくくっているの……?

 ギュッと閉じたまぶたの裏に、龍一さんと小峰さんの親密そうな映像が勝手に浮かぶ。

 美男美女の彼らのラブシーンは映画のように美しく、私が相手ならばこうはならないと、ただただ打ちひしがれた。

 その日からの私は、毎日暗闇の中を彷徨っているようだった。食事も喉を通らなくなり、なんとか会社にだけは通って仕事をしていたが、それも一週間ほどで限界が来た。

 私は会議のさなかに、職場で倒れてしまったのだ。

「羽澄! おい、しっかりしろ!」

 石狩課長が周囲に「救急車」と指示し、ずっと私に声をかけてくれていたのは覚えている。

 だけどなにも答えられずにいるうちに、私はそのまま意識を失った。
 


「真智……もう、心配させないでよ~」

 搬送された病院に駆けつけてくれたのは姉だった。

 年末年始は姉が看護師仲間と旅行へ行っていたので会えず、それ以外もお互い仕事が忙しく、会うのは久しぶり。

 すでにひと通りの検査を済ませた後だったので、ベッドのリクライニングを起こして姉に笑顔を向けた。大部屋が空いていなかったのでひとりだけの個室だ。

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