内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「そういう状況なら、龍一さんとの婚約は破棄して、うちに帰っておいで。私が父親代わりになるよ。ふたりで分担すれば、なんとかなるでしょう」
「でも、産んで育てられるかな……私」
「ママになるときはみんな不安なのよ。なんて、出産経験のない私が言うのは変だけどさ、私は真智の赤ちゃんに会いたいな。看護学生時代に習ったけど、妊娠も出産も、本当に尊いことなのよ」
姉の言いたいことはわかる。自分の体の中に新しい命を授かった奇跡が、私だってうれしくないわけじゃない。
だけど……。
「心臓が……三つあるって言われたの」
「えっ?」
「三つ子ちゃんなんだって、ここにいるの」
お腹の上に置いた手が、微かに震えた。
そこでようやく、姉も私の不安要素に気づいたらしい。目を丸くした後、納得するように何度も深く頷いた。
「三つ子……それは誰だって身構えるわね。母体も通常の妊娠より危険だから、出産前は管理入院になるでしょう。それに何より、産んだ後の育児を思うと……いや、でも、やってみようよ真智。全面的に協力するから」
「お姉ちゃん……」
「私は相変わらずおひとり様だし、家にひとりでいるのも張り合いがなかったの。だからこれからは、妹とかわいい三つ子ちゃんの世話を焼く、おせっかいおばさんにならせてよ」
姉が着ていたシャツの腕を捲り、ガッツポーズをする。
そのやさしさと頼もしさに涙があふれて、私は何度も頭を下げた。
私はこの時、決意したのだ。
龍一さんを想ってメソメソするのはもうやめる。これからは三つ子のことを最優先に考えて、生きていくって。