内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 初めて三つ子育児を目の当たりにした彼が戸惑うのも無理はない。

 私もひとりで子どもたち三人を保育園に登園させる初日は、大量の荷物や子どもたち自身の重さに途方に暮れたものだから。

「ありがとうございます。じゃあ、三人のリュックだけ……」
「しゃちょー、だっこ」

 龍一さんの手に子ども用リュックを三つ渡そうとしたその時、秋人がベビーカーから両手を伸ばしてそんなことを言った。

 秋人は三人の中で一番人見知りしないタイプとはいえ、いきなり抱っこをせがむとは予想外だ。

 しかも『しゃちょー』って、なんと失礼な呼び方を……。

「秋、ダメ。社長さんのスーツが汚れちゃう」
「いや、俺は一向に構わないよ。秋くん、おいで」

 龍一さんがそう言って微笑むと、秋人の目がきらりと光る。

「ママ、これ、はずして」

 ベビーカーのベルトを引っ張って、秋人が足をじたばたさせる。

「……いいんですか?」
「ああ。もちろん」
「秋、大人しくするのよ」

 ベルトを外してやると、勢いよくベビーカーを飛び降りた秋が、龍一さんの前でぴょんぴょん跳ねる。

 龍一さんがその体をひょいと抱き上げると、秋人はますます興奮したのか口数が多くなった。

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