内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「すみません、後ろのふたりをお願いしても――」

 車内に身を乗り出した彼に言いかけた瞬間、龍一さんが「しっ」と人差し指を口もとに立てる。

 反射的に黙った私に蕩けるような眼差しを向けた彼は、ゆっくりと顔を近づけてきて、触れるだけのキスを私の唇に落とした。

 お互いの気持ちはわかっているとはいえ、こんな状況でキスされるとは思いもしなかったので、顔中にぶわっと熱が広がる。

「……ごめん。こんな時でもないと、チャンスがなかったから」

 苦笑する彼だが、謝ることではないので首を左右に振る。

 ふいに伸びてきた龍一さんの指先が、くすぐるように私の頬を撫でた。

「子どもたちがかわいくて仕方ないのはもちろんだが、今後はきみへの愛情も惜しげなく注ぐつもりだから、そのつもりでいて」

 瞳をまっすぐ覗かれ、熱を孕んだ声で囁かれる。忘れかけていた女としての感覚が、ジンと体を疼かせる感覚がした。

「は、はい……」
「じゃ、先に麦人と降りていてくれ。俺はベビーカーを出して、後ろのふたりを下ろす」

 最後に甘い笑みを浮かべた後は、一瞬にしてパパの顔に戻った龍一さん。

 私もいつも通りの自分に戻ろうと必死で母親の顔を張り付けていたけれど、不意打ちのキスの余韻が尾を引いて、胸はいつまでも高鳴っていた。

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