内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 なんと言おうか悩んでいるうちに、四十代くらいの男性講師がやってくる。小峰さんがすぐにスッと背筋を伸ばして口を噤んだので、私も慌てて講師に注目し、姿勢を正した。

 講演テーマは【次世代を担うリーダーになる方法】だった。

 私は性格的にリーダーという器じゃないけれど、目標とするゴールに向かって、一つひとつステップを積み上げていく具体的な手法や、ストレスに負けないメンタルづくりの習得などどれも興味深い話ばかりで、夢中になって講演に聞き入った。

 もちろん、手元のメモにペンを走らせるのも忘れずに。

 やがて九十分の講演が終わり、休憩時間になった。

 この後はいよいよテストなので、トイレを済ませて早々と席に戻り、メモを見返す。

「ねえ羽澄さん、ちょっと」

 慌てた様子の小峰さんが、私の肩をせわしなく叩く。

「どうしたの?」
「見て、降矢専務よ……。研修に来てくれるなんて知らなかった……」

 彼女のうっとりした視線を追うと、先ほどまで講師が立っていた場所に、ひとりの長身男性がいた。

 濃紺のスリーピーススーツに身を包み、軽く目にかかった前髪を指先でスッと避けながら、手元のタブレットに視線を落としている。

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