内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 ビジネス誌や社内報の写真で容姿端麗な方だとは知っていたものの、降矢専務に直接お目にかかるのは初めて。

 年はたしか三十二歳。小峰さんが見とれてしまうのも仕方がないくらい麗しい見た目だし、御曹司という言葉のイメージとは少し違う、仕事ができる人特有のピリッとしたオーラを感じる。

 近寄りがたい雰囲気なのに、目が離せない。

 やがて休憩時間が終わると、降矢専務がマイクを手にして、会議室全体を見ながら挨拶をした。

「皆さん、本日はお疲れ様でした。専務の降矢です」

 穏やかな中にも芯のある低めの声。専務からのありがたいお言葉だと緊張する私の隣で、小峰さんがはぁ……と甘い吐息をつく。目の中にハートマークが見えるようだ。

「この後の試験ですが、本日の講演内容、当社Sparcilに関する問題に答えていただくほか、午前中の自由行動の所感、それから皆さんのが思い描く理想の文具メーカーの姿について、自由に記述していただきます」

 決まった答えのある問題ばかりでないと知り、少し動揺した。

 たぶん、他の参加者の心境も同じだろう。声こそ発しないが、会議室全体に緊張感が漂い始める。

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