内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「記述問題の採点は、私が行います。そして他の問題との総合的な結果をふまえ、最も成績の良かった一名を、来年度から経営戦略部のメンバーに加える予定です」
専務がそう口にした瞬間、会議室がどよめいた。
「ここにいるのは入社五年までの若手社員ですから、経営の知識がない方が多いかと思いますが、経営戦略部に入ってから鍛え上げますのでご心配なく」
経営戦略部とは、ごくひと握りの有能な社員だけが選ばれる、社長直属の特命部隊だ。
開発部の私では力不足ではないかと思う反面、経験を積んでいつかはその輝かしいポストに……と淡い希望を抱いていたのもあり、胸がドキドキと高鳴る。
「……絶対トップになる」
先ほどまでの浮ついた様子を消し、力強い口調で呟いたのは、小峰さんだ。
彼女を始め、今日ここに集められているのはそもそも優秀な社員ばかり。自分が選ばれる確率は低いだろうけれど、私は私のできるすべての力を発揮できるよう、真面目に試験に臨むだけだ。
「それでは始めてください」
問題と解答用紙が全員にいきわたったところで、専務が試験開始を告げた。
一斉にペンが走り出す音が響き渡り、私も負けじと問題文を睨む。
長いようで短い九十分が、刻々と過ぎていった。