内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
降矢専務は静まり返った室内を見渡し、バツが悪そうに笑った。
「すみません、私はお顔がわからないので、手を挙げていただけると助かります」
きょろきょろとする専務の姿を見て、ハッと我に返った。
「は、はい。羽澄です……!」
右手を挙げて、ガタッと席を立つ。隣の小峰さんが「立てとは言ってないじゃん」と、呆れたように呟いた。かぁっと頬が熱くなる。
「おめでとうございます。どうぞ前へ」
「は、はい……」
専務の上品な微笑みに、ますます顔が火照ってくる。試験一位という結果はうれしいが、目立つことは苦手なのだ。
右手と右足が一緒に出そうなぎこちない動きでなんとか専務のもとへ歩み寄る。
すぐそばに立ってみると、思っていた以上に彼の背が高いことに気が付いた。一八〇センチはあるだろう。
降矢専務は私の姿を見下ろすと、クスッと笑った。
「眼鏡がずれていますよ」
そう言うと、細長い指でさりげなく私の眼鏡のつるを押し上げた。