内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「きみも背もたれに背中くらい預けろ。会社の中でちょっと偉いというだけで、俺は別に神や仏じゃないんだ。緊張しなくていい」
「きょ、恐縮です」
専務と言う役職は〝ちょっと偉い〟と言うレベルではないしそう簡単に緊張は解けないが、言われた通りシートに軽くもたれる。専務は満足したように頷き、私をジッと見つめた。
「それにしても、試験の出来は見事だった。初代や先代の社長はともかく、二代目や三代目の名前までフルネームで覚えている社員はそうそういない」
「歴代の社長のお名前やSparcilの沿革は、入社当初から頭に入れておりました。まさか今回の試験に役立つとは思いませんでしたが……」
「ああ、きみの答案は各地の工場が完成した時期やSparcilが上場企業になった年まですべて完璧に答えられていた。そんな細かいこと、俺だって覚えていないのに」
専務が面白がるようにクスクス笑う。
いつでも隙がなさそうな彼なのに、目元をくしゃっとさせた自然な笑顔はとても無防備だ。緊張がほんの少し和らぐ。