内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 床の間に竜胆の花と掛け軸が飾られた和室の中央に、椅子とテーブルのセットが置かれている。やわらかい柿色の照明がテーブルの上を控えめに照らす、和モダンな部屋だ。

「苦手な食材は?」
「とくにありません」
「酒は飲めるか?」
「少しなら……」

 私の返答を聞き、専務は「予約した通りに」と女将に伝える。

 少しして、前菜の盛り合わせとルビーのように真っ赤な色をした食前酒が、小さなグラスに入って運ばれてきた。

「綺麗な色のお酒ですね」
柘榴(ざくろ)酒だ。美容にいいらしい」
「柘榴のお酒ですか。初めてです」

 専務がグラスを持ち、目線の高さに掲げる。私も慌てて彼にならった。

「改めて、試験一位、おめでとう」
「ありがとうございます……!」

 恐縮しながら、真っ赤な柘榴酒に口をつける。口当たりは爽やかで、ほどよい酸味を感じた後で上品な甘みが舌の上に広がる。

「美味しい……。柘榴色って、確か、日本の伝統色をセットにしたカラーペンのセット『(うらら)』にも入ってますよね。私あのセットが大好きで、学生時代にノートの色分けをする時に使っていました」


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