内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「私も茄子は好きです。だし汁がよく染みた煮びたしとか」
「ごま油の効いた鍋しぎとか?」
「いいですね、ししとうも入れたりなんかして。……もしかして、ご自分でお料理されるんですか?」
多忙であろう専務が自炊をするとは思えないが、鍋しぎは料理をしない人ならあまり知らない料理名ではないだろうか。
「ああ、時間のある時だけだが」
「それじゃ、奥様になる方は幸せですね」
今どきは台所に立つ男性も少なくないのだろうけれど、自分の家庭環境のせいか、どうしても料理がきる男性には感心してしまう。
専務が少し不思議そうな顔をしていたので、あっと思って説明を加える。
「私の父が家事も育児もいっさいしない人だったんです。母は相当苦労したようで」
「そうだったのか。でも、今ならきみが親孝行してやれるだろう?」
「親孝行、できたらよかったんですけど……母は私が高校生の時に亡くなってしまって」
亡くなった原因は脳出血による突然死。
過労死ラインを超えるほど長時間働いていたわけではないし、姉と私の前では明るく振舞っていることが多かったけれど、長年たったひとりで仕事も家事も育児も担ってきた疲労とストレスが関係ないとは思えなかった。