内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「そうか……。こんなに立派になったきみを見られなくて、お母さんは無念だったな」

 温かく寄り添ってくれる専務の言葉に、不覚にも目頭が熱くなった。

 母が亡くなってもう十年近く経つので、涙が出るのは久しぶりだ。慌ててハンカチを取り出し、眼鏡を外して濡れた目元にあてる。

「すみません、せっかくのお食事の最中に暗い話をしてしまって。でも、母ならきっとどこかで見てくれていると思います。今日の試験の結果も、こうして専務にお祝いしてもらっていることも」

 涙を拭いて笑顔を作ると、専務も微笑んで頷いてくれる。

「きみに頑張る原動力を与えているのはお母さんなんだな。さぞ自慢の娘だろう」
「自慢かどうかはわかりませんが、勉強して偉くなって、誰にも頼らず自分の足で立つ。それが母の望みだったので、なんとか叶えようと努力はしています」

 眼鏡をかけ直し、改めて彼を見る。すると専務が微かにテーブルに身を乗り出して私をジッと見ていたので、何事かとどきりとした。

「……適任かもな」
「えっ? あっ、経営戦略部のことですね。私になにができるかわかりませんが精一杯やらせていただきま――」
「違う。そっちじゃない」

 そっちじゃない?

 彼がなんの話をしているかわからず、頭の中が疑問符でいっぱいになる。

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