内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
彼はさりげない調子で言うが、今まで役職名で呼んでいた相手をいきなり下の名前で呼ぶなんて、私にはかなりハードルの高い要求だ。
とはいえ偽装結婚を受け入れるからにはそれもお役目のひとつ。やると決めたからには後に引けない。
「りゅ、龍一さん……?」
『それでいい。俺もこれからは、きみを真智と呼ぶ』
龍一さんの低い声に〝真智〟と呼ばれるのは、独特の気恥ずかしさがあった。
逆に龍一さんの方には照れもためらいもないので、仕事優先の人生を送ってきたとはいえ、それなりの女性経験はあるのだろう。
「あの、今後私は婚約者としてどう振舞ったらいいのでしょう?」
『そうしたことを密に相談するためにも、早めに生活をともにしたい。今週末にでも俺の住んでるマンションに引っ越して来れるか? 業者はこちらで手配する』
こ、今週末……?
あまりのスピード展開に目が回りそうだが、彼にも時間がないのだろう。腹をくくるしかない。