内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 週が明けるといつもの日常が戻ってきたが、自宅では少しずつ引っ越しの準備を進めた。

 龍一さんの手配した引っ越し業者の段ボールに必要な荷物を詰め、いらないものは姉に譲ったり、処分したり。

 ベッドや机などの大型家具はとりあえずそのまま置かせてもらうことにしたので、『いつでも出戻って来れるね』と姉が冗談を言っていた。

 ほとんどの物を段ボールに詰め、スッキリした部屋で朝を迎えた金曜日。

 私は出勤してすぐ、上司の石狩さんと共に郊外にあるSparcilのボールペン工場へと向かった。開発中の新製品の情報を共有するためだ。

 生産ラインに直接入るわけではなく、工場とは離れた事務棟の会議室に通される。

 上司の石狩課長と私は、現場責任者の男性ひとりとテーブルを挟んで向き合った。

「このクリップの形がよくないのか、テストではちょっと破損しやすかったんで、歩留まりがよくないです」

 工場で昨日行われた試作の結果を、現場責任者の男性が説明する。示された資料を見ると、確かに生産数に対して不良品の数が多かった。

 ちなみに指摘されたボールペンのクリップや軸は、百パーセントリサイクルできるステンレス製。こちらも環境に配慮した筆記具のひとつとして売り出す予定だ。

< 69 / 247 >

この作品をシェア

pagetop