内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
優雅な空間にただただ言葉を失っていると、スマホを耳にあてていた龍一さんがこちらを振り返った。
「業者もすでに搬入用のエレベーターで待機しているそうだ。部屋へ急ごう」
「は、はいっ。ええと、何階でしたっけ?」
目にするものすべてが新鮮でついぼうっとしてしまったが、慌てて彼の背中を追いかけながら尋ねる。
「五十五。最上階だ」
「さっ、最上階?」
タワーマンションの住戸は、借りるにしろ購入するにしろ、上階に行くほど価格も上がるのだと聞く。興味本位で情報誌を眺めたことがあるが、この辺りの都心だと販売価格は億を超えるのでは……。
軽く想像しただけでめまいがした。
「隣人に気を遣う生活は性に合わないんだが、ワンフロア一世帯の物件はたまたま最上階しかなかったんだ」
「はぁ……そうなんですね」
龍一さんは終始気楽な調子で話しているので、彼にとってはなんてことのない買い物なのだろう。私も豪華な設備にいちいち取り乱さないようにならなければ。
そう思いながら、エレベーターホールにたどり着く。
通路の両脇にいくつもの扉が並んでおり、どれに乗ったらいいのか私にはまったく判断がつかない中、彼は一番奥の一基のボタンを押した。