内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

「ここが最上階専用のエレベーター。他の住人とは一緒にならないから安全だ」
「専用のエレベーターまであるんですか……」

 格の違いに圧倒されて思わず目を白黒させる。さすがにこれで取り乱すなという方が無理な話だ。

 想像以上にすぐやってきたエレベーターに乗り込むと、静かな箱の中で思わず呟く。

「私、こんなものに乗れるほど今までの人生で徳を積んでいませんが、いいんでしょうか?」
「いいんじゃないか? というか、これから徳を積むどころか偽装結婚で周囲を欺くという悪行を働くんだ。気にしていたらきりがないぞ」
「うっ……。そう、ですよね」

 彼の指摘にチクチクと良心が痛み、思わず両手で胸を押さえた。

「きみは信心深いんだな。そんなに気になるなら、毎日トイレ掃除でもしたらどうだ?」
「あっ、それいいですね! トイレには神様がいるって言いますし」

 そう言って両手をぱちんと合わせると、龍一さんは面喰らったように目を丸くする。

 それから気が抜けたようにふっと息を漏らして笑った。

「冗談だ。きみはなにを言っても真に受けるな」

 呆れたような彼の言葉に、思わず苦笑いを返して肩を竦める。

 冗談が通じない――実は昔からよく言われたセリフで、自分でも少し気にしていた。

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