内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
厳しさと優しさの両方を感じる彼の言い方に、不思議と心が温かくなった。
その通りかもしれない。彼は私を選んだ根拠を〝勘〟だと前に言っていたけれど、テストの山勘みたいに当てずっぽうなものとは、たぶん違う。
少しでも気に入る部分があったから、こうしてプライベートな場所まで連れてきてくれたのだ。
なのに私ときたらぐちぐち暗いことばかり言って……龍一さんだって気が滅入るよね。
頭の中でひとり反省会を繰り広げていると、そっと体を離した彼が私の顔を両手で挟んでまっすぐに瞳を覗いた。
「わかったら、引っ越し業者の前でも堂々と婚約者を演じろ。俺たちの関係は、もう始まってるんだ」
「はい……」
「じゃ、行くぞ」
さりげなく手を握られてドキッと胸が跳ねる。けれどなんとか顔に出さないようにしながら、新居の玄関を目指した。
「龍一さん、本当にここで生活してらっしゃるんですか?」
荷物の搬入が終わり、玄関で業者の見送りを終えたところで、思わず隣に立つ彼に尋ねた。
「そうだが、なにを疑ってるんだ?」
「いや、だって……人が住んでいる温度をまったく感じないので」