内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】

 無駄なものがまったく置かれていない廊下をぐるりと見まわす。収納はすべて見えない構造になっているし、植物なども飾られていない。視界に入るインテリアらしいインテリアは、玄関の棚に車のキーを置いておく小物入れがひとつあるだけ。

 廊下からリビングダイニングに戻ると、ソファやテーブルのセット、テレビなど最低限の家具家電が目に入る。

 しかしそれらもやはりモデルルームに置かれた展示品のように無機質で、汚れひとつない。

「ちょうど昨日、家事代行サービスが掃除をしていったからだろう。俺だって急いでいる出勤前なんかは、寝室に部屋着を脱ぎっぱなしにしたり、飲み終えたコーヒーのカップをテーブルに残して出かけたりもするさ」

 龍一さんがそう言って、黒く塗られたスチールの脚がモダンな印象のダイニングテーブルを視線で示した。

 お揃いの椅子は片側の三つがチェアタイプ、もう一方がベンチタイプになっている。

「それを聞いて安心しました。ちなみにそういう場合、勝手にお部屋に入って洗濯物を回収するのはNGにしても、テーブルに残されたカップを洗ったりするのは構いませんか?」
「ああ、もちろんだ。ただし、義務的にやる必要はない」
「食事はどうしますか? 偽装夫婦なので別々?」

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