内緒で三つ子を産んだのに、クールな御曹司の最愛につかまりました【憧れシンデレラシリーズ】
「茄子のフルコースでも?」
「えっ? ……はい。龍一さんがそうしたいのであれば」
そんな特殊なコースをデリバリーしてくれる店があるとは知らなかった。龍一さんって本当に茄子が好きなんだな。
それにしても、どうして険しい顔をしているんだろう?
龍一さんはひとつため息をこぼし、私を見る。
「なぁ、真智」
「はい」
「俺との同居生活に波風を立てたくないのはわかるが、必要最低限の自己主張くらいはしてほしい。俺は別に、言いなりになってくれる妻が欲しいわけじゃないんだ」
思いがけない言葉に、目をぱちくりさせる。
自己主張……確かに苦手分野だが、今の会話に関しては彼の勘違いではないだろうか。
私は、自分がそうしたいと思ったから口に出しただけだ。
「あの、私、不本意に茄子のフルコースを食べようとしているわけじゃありません」
龍一さんが、怪訝そうに目を細める。よく意味がわからない、そう言いたげな顔だ。
「相手の好きなものを一緒に食べたら、なんとなくその人を理解できる気がしませんか? 私は龍一さんのことをほとんど知りませんから、少しでもあなたを理解したくて必死なんです。まぁ、茄子が好物なのは前から知ってましたけど……無理やり合わせたわけじゃないというのだけ、わかっていただきたくて」