旦那様は仏様 ~もっとイチャイチャしたいんです~
美咲は聡一の横に寄り添い、その隣を歩く。さすがにそれは初めてではないけれど、これがデートだと思えば自然と浮足立ってしまう。隣を歩く聡一があまりに格好よくて、ずっと見惚れていた美咲だが、そんな浮かれた状態でも困ることなく映画館までたどり着けた。それもすべて聡一のおかげだ。電車の時間に、道順に、何から何まですべて聡一が把握しており、映画のチケットも事前に購入しておきましょうと予め取ってくれていたから、入場まで驚くほどスムーズに進んだ。
「なんだか新鮮ですね」
「え?」
「こうして美咲さんと並んで映画を観るのは新鮮です。とてもいいものですね」
「……はい。一緒に観られて嬉しいです」
すぐ間近から聡一が微笑みを向けてくる。今まで映画を観ていて隣の席との距離を気にすることなどなかったが、隣に座るのが聡一だとこうも違うらしい。胸が高鳴って仕方ない。こんな状態で映画に集中できるのだろうかと心配になったが、場内が暗くなって本編が始まれば、自然と映画に入り込んでいった。そして、気づけば、美咲は感動してボロボロと涙をこぼしていた。本当はハンカチを取り出して涙を拭きたかったけれど、上映中に音を立てるのも憚られて、美咲は流れるままに任せていた。
上映終了して場内が明るくなる。まだ涙を流していた美咲はバッグからハンカチを取り出そうとしたが、聡一に声をかけられて、美咲はそのまま彼のほうへその顔を向けた。
「面白かったですね。あ……ふふ、感動しましたね」
聡一が優しくハンカチで美咲の涙を拭ってくれた。まさか聡一がそんな行動に出るとは思わなくて、美咲は驚いてしまう。その美咲の表情が聡一に勘違いをさせてしまったらしい。
「まだ使っていないハンカチですから安心してください」
そんなことを言われては受け入れるしかなくて、美咲は大人しく聡一に涙を拭かれていた。
「すみません。お見苦しいところを」
「いいえ。こうして何かに感動している美咲さんの姿はとてもお美しいですよ」
その言葉ですっかり涙は引っ込んで、代わりに頬がカッと熱くなった。美咲の涙が止まると、聡一が「出ましょうか」と促してくれたから、美咲はそれに頷き、火照った顔を隠すようにしながら、聡一のあとについて退出した。
「なんだか新鮮ですね」
「え?」
「こうして美咲さんと並んで映画を観るのは新鮮です。とてもいいものですね」
「……はい。一緒に観られて嬉しいです」
すぐ間近から聡一が微笑みを向けてくる。今まで映画を観ていて隣の席との距離を気にすることなどなかったが、隣に座るのが聡一だとこうも違うらしい。胸が高鳴って仕方ない。こんな状態で映画に集中できるのだろうかと心配になったが、場内が暗くなって本編が始まれば、自然と映画に入り込んでいった。そして、気づけば、美咲は感動してボロボロと涙をこぼしていた。本当はハンカチを取り出して涙を拭きたかったけれど、上映中に音を立てるのも憚られて、美咲は流れるままに任せていた。
上映終了して場内が明るくなる。まだ涙を流していた美咲はバッグからハンカチを取り出そうとしたが、聡一に声をかけられて、美咲はそのまま彼のほうへその顔を向けた。
「面白かったですね。あ……ふふ、感動しましたね」
聡一が優しくハンカチで美咲の涙を拭ってくれた。まさか聡一がそんな行動に出るとは思わなくて、美咲は驚いてしまう。その美咲の表情が聡一に勘違いをさせてしまったらしい。
「まだ使っていないハンカチですから安心してください」
そんなことを言われては受け入れるしかなくて、美咲は大人しく聡一に涙を拭かれていた。
「すみません。お見苦しいところを」
「いいえ。こうして何かに感動している美咲さんの姿はとてもお美しいですよ」
その言葉ですっかり涙は引っ込んで、代わりに頬がカッと熱くなった。美咲の涙が止まると、聡一が「出ましょうか」と促してくれたから、美咲はそれに頷き、火照った顔を隠すようにしながら、聡一のあとについて退出した。