極秘の懐妊なのに、クールな敏腕ＣＥＯは激愛本能で絡めとる

　メールに不備や失礼がないか何度も見直してから、送信ボタンを押した。
　あとは出版社の担当者からの返信を待つのみだ。
（うわぁ、すごく嬉しい！　奏斗さんに早く報告したい！）
　メッセージで吉報を知らせようとスマホを手に取ったが、やっぱり直接伝えたいと思い直した。
（奏斗さん、早く帰ってこないかなぁ）
　嬉しい知らせに心が躍ると、不思議と活力が湧き上がってくる。鼻歌を歌いながら掃除と洗濯を済ませて、近所のスーパーに買い物に行き、夕食にトマト煮込みハンバーグを作った。なぜだかトマトを使っていると食べられるのだ。
　奏斗に夕食を作ったことをメッセージで伝えると、【ありがとう。でも、遅くなるかもしれないから、先に食べていて】と返信があった。けれど、どうしても一緒に食べたくて、奏斗が帰ってくるのをソワソワしながら待つ。すると、彼は午後九時過ぎに帰ってきた。
「ただいま」
　彼が玄関ドアを開けるなり、二葉は廊下を急ぎ足で歩いて、彼を出迎える。
「奏斗さん、お帰りなさい！」
　そうして彼にギュウッと抱きついた。
「ふ、二葉？」
　奏斗は驚いたように両手を広げてその場で固まった。
「聞いてください！　今日、すごく嬉しいことがあったんです！」