極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 奏斗はお腹を圧迫しないように横向きに二葉を引き寄せた。二葉は彼の腕にすっぽり包まれながら、溺れそうな彼の熱情に身を委ねた。



 それから一週間経った土曜日。今日は昼過ぎに奏斗と一緒に彼の両親の家に挨拶に行く予定だ。
 大企業の社長夫妻に会うのだと思うと、せっかく奏斗が朝食に作ってくれたフレンチトーストも、なんだか喉を通りにくい。
「食欲がないみたいだね」
 奏斗に心配そうにされて、二葉は笑みを作って答える。
「あ、ごめんね。すごくおいしいんだけど、ちょっと緊張しちゃって……」
「そんなに気負わなくてもいいよ」
「でも、奏斗さんのご両親にいい印象を持ってもらいたいし……」
「いつも通りの二葉でいれば大丈夫だ」
 奏斗はそう言ってくれるが、ロンドンで一緒に過ごした夜、彼は会社を――そのときは大槻ホールディングスだとは知らなかったが――辞めるとき、社長である父に猛反対されたと話していた。
 同じように会社勤めを辞めた経験のある二葉を、彼の父はどんなふうに思うだろうか。
 そんな二葉の不安を感じ取ったらしく、奏斗は彼女を安心させるように微笑んで言う。
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