極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「おじいちゃんとおばあちゃんと音信不通になったのは……病院にお見舞いに行ったとき、おじいちゃんと言い争いみたいになったからなの。おじいちゃんはお父さんがお母さんと結婚したことをずっと怒ってて、お母さんのことを『あの女』なんて呼ぶの。それで、ついカッとなって言い返したら、おじいちゃんに『二度と顔を見せるな!』って言われちゃって。だから結婚したことは……入籍後にハガキでも送って知らせようと思ってる」
 薄情だと思われるだろうか、と二葉は上目でチラリと奏斗を見た。目が合って、奏斗は思いやりのこもった表情で頷く。
「わかった。俺にしてほしいことがあったら、いつでも言ってほしい」
 奏斗の気遣いにホッとする。
「うん、ありがとう。でも、大丈夫」
「そっか。それなら俺は片づけをするから、二葉はゆっくりしてて」
 奏斗は立ち上がって、二葉の髪にキスを落とした。
「でも、体重が増えすぎないように、適度に動かなくちゃいけないから手伝うね」
 二葉は奏斗に続いてシンクに向かった。



 午後一時になって、奏斗の両親に結婚の挨拶に行くため、奏斗の車に乗って出発した。
< 164 / 204 >

この作品をシェア

pagetop