極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 奈美は正輝に大きく一歩近づき、鋭い眼差しで彼を見上げた。正輝は奏斗や二葉をチラッと見てから、頬を赤くして言う。
「いや、も、もちろん」
「もちろん、なによ?」
 奈美はさらに一歩距離を詰めた。正輝は両手を小さく胸の前で上げる。
「いや、今、こんなところでは……」
「ひどい。やっぱり次期社長の座目当てで私と結婚したのねっ」
 奈美は傷ついた様子で顔を伏せ、正輝は慌てたように口を動かす。
「そんなわけない! 君と結婚したのは、そういう理由じゃない」
「じゃあ、どういう理由?」
「それは――」
「『それは』なんなの? 言えないってことは、やっぱり私のこと愛してないんだ」
 奈美の声が悲しそうに震え、正輝はやけになったように声を出す。
「あ、愛してる! 愛してるよっ」
「ほんとに?」
 奈美はチラリと上目で正輝を見た。正輝は首を何度も縦に振る。
「誓って本当だ!」
「やったぁ、嬉しい!」
 奈美は言うなり正輝に抱きついた。
「えっ?」
「んもー、正輝ってばぜんぜん言ってくれないんだからぁ」
「な、奈美」
 抱きつかれている正輝もだが、二葉も奏斗も呆気にとられて奈美を見た。奈美は正輝から腕を解いて小さく舌を出す。
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