極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 奈美の笑顔を見て、二葉は目を輝かせた。一人っ子の二葉にとって、〝姉妹〟は憧れの言葉だったのだ。
「は、はい! こちらこそよろしくお願いしますっ」
「じゃ、私たちはこれで帰るから、またね」
 奈美は言って、正輝に顔を向けた。
「さ、行きましょ」
「あ、ああ」
 正輝は「それじゃ」と奏斗と二葉に会釈をして、歩き出した奈美に続いた。
 二人が佳乃に見送られて玄関を出たあと、奏斗は小さく息をついた。
「嵐のようだったな」
「あの、奏斗さん、勝手にいろいろペラペラしゃべってごめんね」
「謝る必要はないよ。二葉のおかげで義兄さんとの関係がよくなったんだから。ありがとう」
「そう言ってもらえると嬉しいんだけど、今になって恥ずかしくなってきちゃった……」
 二葉は顔を赤くして頬に両手を当てた。そんな二葉の様子を見て、奏斗は思い出したように笑みを零した。
「いや、すごくかわいかったよ」
 奏斗は二葉の肩に手を回して引き寄せ、彼女の髪に軽く口づけた。そのとき、小さく咳払いが聞こえてくる。
 顔を向けたら、佳乃が目を伏せながら口元に手を当てて言った。
「坊ちゃま、そろそろ」
 佳乃の声に笑みが含まれていて、二葉はますます顔を赤くしたが、奏斗は落ち着いた様子で二葉を促す。
< 175 / 204 >

この作品をシェア

pagetop