極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「ああ、そうだな。行こう、二葉」
 奏斗が歩き出したので、二葉は彼に続いた。彼は奈美が出てきた部屋のドアを開けた。そこは改装されたようで、漆喰の壁に障子があったが、床はフローリングでソファが置かれていた。
「ははは、待ちかねたぞ」
 二葉と奏斗が部屋に入るなり、ソファに座っていたロマンスグレーの男性が笑って言った。現社長の大槻智和(ともかず)だ。大槻ホールディングスの会社ホームページで見た写真よりも、ずっと優しそうな表情をしている。ベージュ系のチェックのシャツにブラウンのベスト、ダークグレーのスラックスという格好をしていて、社長というより老紳士という印象だ。
 智和の隣には細身の女性が座っていた。ふんわりしたボブの髪を柔らかな茶色に染めていて、上品なワンピースを着ている。
「父さん、母さん。彼女が栗本二葉さんだ」
 奏斗に紹介されて、二葉は緊張しながら挨拶をする。
「こんにちは、栗本二葉と申します。よろしくお願いいたします」
「二葉さん、ようこそ。さあ、どうぞ座って」
 奏斗の母がにこやかに笑って、向かい合うソファを手で示した。
「失礼いたします」
 二葉は奏斗と一緒にソファに腰を下ろした。
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