極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 夫人に請われて、二葉は熱くなりすぎないように気をつけながら、イギリスでの思い出話をした。
 二葉の話に社長夫人がときおり相づちを打ち、奏斗と社長が二人を穏やかな目で見守る。そうやって過ごす時間は、とても温かく和やかだった。



 午後四時過ぎに社長宅を辞してから、二葉は奏斗と一緒に区役所に行って、婚姻届を出した。これで晴れて法律上、夫婦になった。
「これからもよろしく、愛する奥さん」
 区役所の駐車場で車に乗り込んだあと、奏斗が言った。
「こちらこそ。私のステキなだんな様」
 言ってから照れてしまい、二葉は頬を染めてうつむいた。そんな彼女の顔を覗き込んで、奏斗が言う。
「二葉、もしまだあまり疲れてないから、少しドライブしたいんだが」
「あ、うん、大丈夫。お義父(とう)様もお義母(かあ)様も、想像していたよりずっと気さくで優しい方たちだったし。それに、最近は安定期に入ったからか、体調もいいの」
「それならよかった」
 二葉がシートベルトを締めると、奏斗は車をスタートさせた。公道に出てしばらく走ったあと、兵庫県に向かう高速道路に乗る。
 やがて海が見えてきた。
 まだ夕焼けに少し早い時間、明るい日差しが降り注ぎ、水面で光がキラキラと踊っている。
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