極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 正直に両親の話を打ち明けようかと思ったが、いくら彼が話しやすいからといっても、ただ再会して一緒にお茶を飲んでいるだけだ。そんな相手には重すぎる話だろう。
「……いいえ」
 二葉は話題を変えようと笑顔を作って奏斗を見る。
「それはそうと、コティリードンってなんの会社なんですか?」
 唐突に話題を変えたからか、奏斗は一瞬怪訝そうにしたが、すぐに表情を緩めて答える。
「一言で言うと環境コンサルティング会社ですね」
「環境コンサルティング会社……ってどんなことをするんですか?」
 二葉は尋ねてから、スコーンを口に入れた。サクサクした生地が口の中でほろりと崩れる。濃厚なクリームと甘酸っぱいストロベリージャムがこれ以上ないくらい好相性だ。
「わ、おいしい」
 二葉が思わず呟くと、奏斗もスコーンを口に運んだ。
「ああ、本当だ。これはおいしいな」
 香り高い紅茶と一緒に本場のスコーンをしばらく味わってから、奏斗が説明に戻る。
「コティリードンは、たとえば建設会社が建設廃棄物を処理するときに、できるだけ環境に負荷をかけないような処理方法を提案するのが主な仕事です。ほかにも、市街地の緑化事業などに関わったりもしていますよ」
「緑化ってことは、公園を整備したりするんですか?」
< 35 / 204 >

この作品をシェア

pagetop