極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 話しているうちに熱がこもり、つい前のめりになって語ってしまった。そんな二葉を見て、奏斗は驚いたように少し目を見開いた。
 彼の表情の変化に気づいて、二葉はハッとする。
(しまった! 夢中になると語りすぎる癖が出ちゃった……)
 圭太郎には『ウザい。おまえは学校教師か』と何度か嫌そうな顔をされた。そんなダメな癖が出てしまい、二葉は気まずくなってもごもごと口の中で言う。
「ご、ごめんなさい。専門家でもないのに知ったような口を利いてしまいました。ウザかったですよね」
「まさか! ウザいだなんて少しも思いませんでしたよ。かわいいなって思ったくらい――」
 奏斗は言いかけて、左手を口元に当てた。
「えっ」
 二葉が目を見開き、奏斗の頬骨の辺りがほんのりと染まる。
「すみません、失礼しました。親しくもない男にそんなふうに言われたら、気持ち悪いですよね」
「気持ち悪いだなんて……逆に嬉しいです。あんなふうに語って、『おまえは学校教師か』って嫌がられたくらいでしたから」
「そんなふうに言うなんて、その人は学校の先生に叱られた記憶しかないんでしょうか。そもそも俺の知ってる学校の先生はみんな優しくて博識だったから、俺なら褒め言葉だと受け取りますね」
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