極秘の懐妊なのに、クールな敏腕ＣＥＯは激愛本能で絡めとる

　彼は思いやりのこもった表情で、二葉の右手をゆっくりと包み込む。
「大丈夫。二葉さんの夢はきっと叶う。強い気持ちを持っていれば、努力は必ず実を結びます」
「そう、でしょうか……？」
　二葉は揺れる気持ちのまま、おずおずと言った。
「もちろんです。自然公園の整備に関わる、という夢を一つ叶えた俺が保証します。いわば、夢を叶えた先輩の折り紙付きだ」
　奏斗は茶目っ気のある表情で言ったが、すぐに諭すような口調で二葉の目を覗き込んだ。
「わざわざイギリスまで来て、あんなにたくさん本を買っていたのは、夢のためでしょう？」
「……はい」
「努力は、間違いなく夢に近づく一歩です」
　奏斗の力強い言葉を聞いて、二葉は胸が熱くなるのを感じた。
「ありがとうございます。夢を叶えた先輩にそんなふうに言われたら……心強いです」
「とはいえ、俺もまだ一つしか夢を叶えていません。俺は欲張りなんで、まだまだ夢を叶え続けるつもりですよ」
　紳士のような物腰の彼に『欲張り』という言葉がどうにも似合わなくて、二葉は思わず笑みを零した。
「大槻さんはカッチリしたスーツが似合う、物腰の穏やかな紳士のようなイメージだったんですが、意外と欲深いんですね」