極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 二葉は高鳴る鼓動に押されながらも、ためらいがちに口を動かす。
「……私も、奏斗さんのこと、もっと知りたいです」
 彼の口元がふっと緩んだ。その表情は男性らしい色気があって、どこか扇情的で……二葉の鼓動が勝手に速くなっていく。
 奏斗の柔らかく温かな唇が、二葉の指先を軽く含んだ。
「……んっ、か、なとさん」
 彼の色気に当てられて、声が上ずった。奏斗はクスリと笑って手のひらに口づける。
「声も表情も甘くてかわいい」
 一度目に〝かわいい〟と言われたときと違って、彼の声は熱を帯びてかすれていた。
「二葉」
 手のひらの唇を触れさせたまま名前を呼び捨てにされて、二葉は腰が砕けそうになった。そんな二葉を支えるように、腰に彼の手が回される。
「奏斗さん……」
 あまりにドキドキして、二葉は喘ぐように名前を呼んだ。
「そんな声で名前を呼ばれたら……自制心を失ってしまいそうだ」
 奏斗は少し眉を寄せて、なにかに耐えているかのような表情で言った。
「じ、自制心って……?」
「今すぐ君にキスしたい」
 劣情の滲んだ声で囁かれ、声の伝わる耳から脳まで甘く痺れて理性を溶かしていく。
 ここがどこだか、そんなことを気にする余裕はなくなって、心はただ目の前の彼を求めていた。
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