極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる

 ホテルの入り口では、制服を着たドアマンがドアを開けてくれた。フロントやエレベーターホール、廊下などに花が飾られていて、艶のあるダークブラウンの調度品や上品な内装は、中世ヨーロッパの貴族の邸宅を思わせる。
 奏斗の部屋は八階の広い部屋だった。
 頭上には小ぶりのシャンデリアが輝き、ダークブラウンを基調とした家具が落ち着いた雰囲気だ。
 二葉が借りたシングルルームもエレガントな部屋だったが、奏斗の部屋はレベルが違った。二葉の部屋は入ってすぐのところにライティングデスクとベッドがあったが、奏斗の部屋はなんとリビング・ダイニングになっている。
(すごい豪華……)
 ふと視線を大きな窓に転じたら、薄曇りの空と緑の木々が見えた。
「わあ、ハイド・パークが見えるんですね!」
 引き寄せられるようにリビング・ダイニングを横切って窓に近づいた。
 二葉の部屋は逆側に面しているので、窓から見えるのはロンドンの街並みだったが、奏斗の部屋は広い公園を一望できる。
「ステキ……」
 夜のとばりが下り始めたハイド・パークは、闇に溶け込みそうな木々を、ところどころにある街灯が照らしている。夕方と夜の狭間の公園は神秘的で幻想的だ。
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