極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「先にシャワーを浴びる?」
 奏斗が後ろに立って二葉の髪をかき上げ、耳にチュッとキスを落とした。
「ひゃっ」
 淡い刺激に首筋が震えて、二葉は思わず高い声を上げた。
「俺は一緒に浴びるのでもいいけど」
 奏斗の口調にからかうような響きが混じり、二葉はあたふたしながら答える。
「あ、や、先にっ、一人で浴びさせてもらいますっ」
 彼は言葉も仕草も余裕があるのに、二葉は慣れていないことがバレバレだ。そんな自分がなんだか恥ずかしくて、二葉は逃げるように彼から離れた。
「バスルームはあっちだよ」
 奏斗の声に教えられて、二葉はリビング・ダイニングの横のドアを開けた。そこはパウダールームになっていて、さらに奥にバスルームがあった。
 緊張でドキドキしながら服を脱ぎ、バスルームに入る。
 圭太郎としか付き合ったことがないので、いざとなるとうまく振る舞えるか心配になってきた。
(でも、待たせすぎるのは絶対によくないよね)
 できるだけ手早く、けれど念入りに体を洗ってシャワーを浴びた。ホテル備え付けの白いバスローブを着て、スキンケアとヘアケアを済ませる。
「お待たせ、しました」
 ためらいがちにパウダールームのドアを開けたら、ダイニングテーブルにシャンパンのボトルとクラッカー、チーズ、サンドイッチなどが並んでいた。
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