極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「きゃ。あの、なにか食べるんじゃ……?」
 突然の浮遊感に驚いて、二葉は上目遣いで彼を見た。奏斗はいたずらっぽい表情で二葉の唇に軽くキスをする。
「言っただろ、先に一番欲しいものを食べるって」
 そのまま彼はリビング・ダイニングを横切って、ベッドルームのドアを開けた。広いベッドの端に二葉を座らせて、隣に腰を下ろす。
 奏斗は二葉の顎をつまんで目を覗き込んだ。熱を孕んだ彼の瞳に二葉の顔が映っている。
「なにより君が欲しい」
「私も奏斗さんが欲しいです」
 二葉は囁くように言って、彼の首に両腕を回した。奏斗の手が後頭部と腰に添えられ、二葉をそっとベッドに押し倒す。
「二葉」
 唇が重なり、彼の舌が二葉の唇をなぞった。二葉は誘われるように唇を開く。その隙間から彼の舌が滑り込み、口内を愛撫するように撫で回した。
「ん……ふ……」
「甘いな」
 二葉がつい吐息を零すと、奏斗は片方の口角を引き上げて笑った。野性的にも見えるその表情に、二葉の鼓動が跳ねる。
「チョコレートを食べたから……」
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