極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
『あ、いえ。そうではなくて……』
 彼が日本人だったら理解してもらいやすいんだけどな、と思いながら、二葉は英語で説明する。
『私は日本人で、私の名前がコティリードンを表す日本語と同じなんです。それで、すごい偶然だなと思って、思わず笑ってしまったんです』
 それを聞いて、彼の口元がふっと緩んだ。今までのクールさが薄れて、優しげな印象になる。けれど、その変化以上に、彼の次の言葉に驚かされた。
「では、あなたの名前は二葉さんなんですね?」
 彼は日本語でそう言ったのだ。
「そうです。ということは、あなたも日本の方ですか?」
 二葉が日本語で問いかけると、男性は頷いた。
「はい。あなたをお見かけしたときは日本人かなと思ったんですが、本が全部英語のペーパーバックだったので、英語で話しかけました」
「そうだったんですね。私はあなたがイギリスの方なのかと思いました。英語がとてもお上手だったので」
「あなたもお上手ですよ」
「あ……ありがとうございます」
 二葉は褒め返されて、はにかみんだ笑みを浮かべた。
(せっかく同じ日本人と隣の席になったんだから、もう少しお話ししてみたい)
 二葉は思い切って口を開く。
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