極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
けれど、病室のクリーム色のスライドドアを前にしたとたん、一年前の両親の葬儀での記憶が蘇ってきた。
葬儀ですらあんな様子だった祖父が、二葉に会って喜ぶだろうか?
(ううん、大丈夫、おばあちゃんが会いたいって言ってくれたんだから)
二葉は深呼吸をして不安を押し戻し、ドアをノックした。
「はい、どうぞ」
くぐもった女性の声が聞こえたので、二葉はドアをそろそろと開けた。
「こんにちは」
二葉が小声で挨拶すると、白髪の小柄な女性が椅子から立ち上がった。
「二葉ちゃん!」
祖母だ。
両親の葬儀のときも華奢な印象だったが、祖父が倒れて憔悴しているからか、さらに痩せて見えた。目の下にクマができていて、後頭部でまとめた白髪がほつれている。
二葉はぎこちなくお辞儀をした。祖母は二葉に近づいて両手を握る。
「二葉ちゃん、ありがとう。本当によく来てくれたわねぇ」
祖母の手は皺だらけでかさついていた。二葉は祖母の手を握り返しながら尋ねる。
「おじいちゃんの具合はどうですか?」
「だいぶ元気になったのよ」
祖母に手を引かれて、二葉はベッドに近づいた。ベッドではすっかり頭髪が薄くなった祖父が横になっていた。祖母とは対照的に祖父は大柄で、眉間にしわが刻まれた厳格そうな顔つきは、前に見たときから変わっていない。
葬儀ですらあんな様子だった祖父が、二葉に会って喜ぶだろうか?
(ううん、大丈夫、おばあちゃんが会いたいって言ってくれたんだから)
二葉は深呼吸をして不安を押し戻し、ドアをノックした。
「はい、どうぞ」
くぐもった女性の声が聞こえたので、二葉はドアをそろそろと開けた。
「こんにちは」
二葉が小声で挨拶すると、白髪の小柄な女性が椅子から立ち上がった。
「二葉ちゃん!」
祖母だ。
両親の葬儀のときも華奢な印象だったが、祖父が倒れて憔悴しているからか、さらに痩せて見えた。目の下にクマができていて、後頭部でまとめた白髪がほつれている。
二葉はぎこちなくお辞儀をした。祖母は二葉に近づいて両手を握る。
「二葉ちゃん、ありがとう。本当によく来てくれたわねぇ」
祖母の手は皺だらけでかさついていた。二葉は祖母の手を握り返しながら尋ねる。
「おじいちゃんの具合はどうですか?」
「だいぶ元気になったのよ」
祖母に手を引かれて、二葉はベッドに近づいた。ベッドではすっかり頭髪が薄くなった祖父が横になっていた。祖母とは対照的に祖父は大柄で、眉間にしわが刻まれた厳格そうな顔つきは、前に見たときから変わっていない。